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『ブギーポップ』と『フルメタル・パニック!』

http://www.style.fm/as/05_column/365/365_137.shtml

僕の認識では、1978年頃には中学生くらいの男子が読むような小説はあまりなく、ましてや、アニメファンが喜びそうなタイトルは少なかった。背伸びして大人が読む本に手を出したり、松本零士がカバーイラストを描いているという理由でC・L・ムーアのスペースオペラを買ったりしていた。翌年には、『機動戦士ガンダム』と関係があるらしいと知って、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」を読んだ。そんな中、「クラッシャージョウ」は、僕達の好みにフィットしたシリーズだった。最後に読んでから30年も経つので記憶が曖昧になっているが、軽快さや、若々しいノリに惹かれたのだと思う。背伸びしないで、気軽に楽しめる小説だった(余談だが、僕が「クラッシャージョウ」を読み始めた頃、新井素子がデビューしており、彼女の作品を読んで「ああ、これは僕達の世代の小説だ」と思った)。



2001~2年頃になっても、中学生の男が読むような小説はあまり出回っていなかった、気がする(特に山陰のような過疎地域では)。「ライトノベル」という概念も、ほとんど定着していなかった。ただし電撃文庫はもちろん存在しており、その当時の電撃文庫の看板タイトルが、上遠野浩平の『ブギーポップ』シリーズだったのだ。

何しろ「なるにはシリーズ」という中高生向けの職業案内本における1タイトル『小説家になるには』で上遠野浩平が取材を受けるぐらいの勢いだったのである。その本の著者が、永江朗で、永江朗が上遠野浩平を取材する(出身大学が同じだったらしい)というシークエンスが、なんともシュールだった。

どの図書館にも置いてある中高生向けの職業案内本にも登場していた上遠野浩平は、後に「ライトノベル」と呼ばれる類の”分野”(←?)における象徴的な作家であった。おれの中学校の図書「室」にも、ヤングアダルト向けという名目で『ブギーポップ』の文庫が置いてあった。たぶん先輩が無理やり希望して置かせたのだろう。

はじめに読んだのは『ブギーポップ イン・ザ・ミラー パンドラ』というタイトルの長編だったはずだ。「辻希美」という登場人物が出てきて、「これはモーニング娘。の前なのか後なのか」と友達とささやきあった覚えがある。13歳位の少年が読むには、ちょうどいい文体と内容の小説だった気がする。

ただ、高校3年になって、町の図書館に置いてあった同作品を懐かしがって読み返したら、とても読めたものではなかった。文体も、内容も、歯ごたえがなさすぎる。これは14歳未満のための読み物だと思った。読書経験を積むと、どんどん「スニーカー文庫や電撃文庫のような小説」を「小説」として読めなくなってくる。
あれは「文学」や「小説」とは別のなにかなのだ。

『ブギーポップ』と同時期に刊行が始まった富士見ファンタジア文庫のシリーズに、賀東招二の『フルメタル・パニック!』がある。

おれが不思議に思うのは、『フルメタル・パニック!』に対し「ライトノベルの枠を超えている!」「ライトノベルで括っていい話ではない」「萌えラノベ全盛の中でフルメタは別格」という賛辞があまりにも目につくことだ。

実のところおれは、かつて『フルメタル・パニック!』を愛読していた。高校生時代の話である。だがしかしそのきっかけは、興味本位のものであった。

「ライトノベルってどんなものなんだろう?」っていう知的好奇心から、長編の第1巻『ボーイ・ミーツ・ガール』と短編第1巻を購入しただけなのである。当時、「ライトノベル」という呼称がにわかに定着してきて、『涼宮ハルヒ』『灼眼のシャナ』『ゼロの使い魔』といった2000年代に始動した作品群がムーブメントを起こしていた。大塚英志の『キャラクター小説の作り方』という新書を、ちょうどその頃おれは読んでいた。著者は、「スニーカー文庫のような小説」「キャラクター小説」という呼び方をさかんに用いていた。
そういった流れの中で、「ライトノベルってどんなもの?」と手にとったのが『フルメタル・パニック!』だった。そういえば「このアニメDVDを見ろ!」みたいな名前のムックでフルメタのアニメが紹介されてたな、ヒロインが可愛かったな、ヒロイン(かなめ)も可愛いしこれならおれでも読めそうかな・・・・・・という感覚で、原作の長編第1巻と短編第1巻を手にとった。

あらためて「ライトノベル」(ブギーポップもその範疇に入る――)を読んでみてわかったこと。
1:改行が多い。
2:漫画・アニメ的な手法・描写を用いている。(大塚英志の「まんが・アニメ的リアリズム」という語法とも関わってくる。)
3:すぐ読み終わる。漫画のように読める。たとえば新潮文庫の島崎藤村『破戒』が読み終わるのに3~4時間かかるところ、『フルメタル・パニック!』の単行本1冊だったら1時間もかからない。

ははぁ、これは「漫画小説」だな、と思った。そして間違いなく、「ライトノベル」の枠を超えていないし、ライトノベルの範疇に入るし、これだけがラノベの中で特別ではない、そう思った。その考えは、7,8年の時を経た今も変わっていない。

それからおれは、この作者が書く短編が取りわけ好きで、『フルメタル・パニック!』に関しては長編が「おまけ」だな、とすら思っていた。長編はエンタメの域を出ないにしても、短編は別だ。一級品のユーモア文学として読んでいた。たとえば評論家の福田和也がしきりに薦めるような獅子文六のユーモア文学がおれたちの琴線に触れなくとも、賀東招二のユーモア短編が強く強くおれたちのツボにはまってくれたのだ。賀東招二は最先端のユーモア作家であった。
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